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マレーシア法人税・SST 基礎知識 2026年版|CFC・移転価格・Substance 要件を徹底解説

2026-06-01 · 📖 約 8 分 · 法人税,SST,CFC税制,移転価格,Substance要件
マレーシア法人税・SST 基礎知識 2026年版|CFC・移転価格・Substance 要件を徹底解説

結論:マレーシア法人課税の全体像を先に把握する

マレーシアは法人税率 24%(標準)を維持しつつ、2024〜2026 年にかけてグローバル最低税(Pillar Two / GloBE)対応CFC 規定の明文化移転価格文書化要件の強化と立て続けに制度改正を行っている。日本の税理士・会計士がマレーシア子会社や持株会社を扱う際に見落としがちな論点を、現行制度ベースで体系的に整理する。

注意: 本記事は 2025 年 7 月時点の情報に基づく一般的解説です。個別案件への適用は必ずマレーシア・日本双方の税理士・弁護士にご確認ください。

マレーシア法人税の基本構造(2026 年現行)

税率一覧

対象法人税率主な条件
一般居住法人(Sdn Bhd 等)24%標準税率
中小法人(SME)優遇枠15%課税所得 RM 150,000 以下の部分。払込資本 RM 2.5M 以下かつマレーシア居住法人の直接・間接保有 ≤20%
SME 優遇枠(超過部分)17%課税所得 RM 150,001〜RM 600,000 の部分(2024 年予算で拡大)
ラブアン法人(一般商業)3%監査済み純利益に対して課税。後述の Substance 要件を充足した場合
ラブアン法人(非商業)0%配当・利子・ロイヤルティ等の受動所得(要件充足時)
対象多国籍グループ(GloBE)実効税率 15% 以上連結売上高 EUR 7.5 億超グループ。2025 年課税年度から国内最低税(DMTT)適用開始

課税年度はカレンダー年(1/1〜12/31)を選択する法人が多いが、任意の 12 か月決算期も認められる。

キャピタル・ゲイン税(CGT)の新設

2024 年 3 月 1 日以降に処分した非上場株式は CGT(Capital Gains Tax)の対象となった(税率 10%)。上場株式・不動産は従来の RPGT が適用される。日本法人が保有するマレーシア子会社株式を売却する際の源泉課税(Withholding Tax)との関係整理が必要になる。


SST(Sales & Services Tax)の現行体制

マレーシアは 2018 年に GST(6%)を廃止し、Sales Tax(10% または 5%)と Services Tax(8%)の二本立て SST 体制に戻った。

Services Tax(サービス税)の 2024 年改定

項目旧税率2024 年 3 月以降
標準サービス税率6%8%
飲食・飲料(F&B)・電気通信・駐車6%6%(据え置き)
B2B 取引(登録事業者間)課税免除拡大(特定サービス)

デジタルサービス(DST) は 2020 年から外国デジタルサービス提供者にも適用。2024 年改定で課税対象が B2B 取引にも拡大された(年間課税売上 RM 500,000 超が登録義務の閾値)。

マレーシア法人が日本本社や関連会社へ役務提供する場合、サービス輸出免除(Exported Services)の適用可否を契約書・請求書の記載レベルまで確認する必要がある。


ラブアン IBC・Sdn Bhd の選択基準と課税比較

ラブアン IBC(International Business Company)

ラブアン IBC は Labuan Business Activity Tax Act 1990(LBATA) により規律される。2025 年現在の主要論点は以下の通り。

Substance 要件(2019 年改正・現行):

日本の税務との接点:

Sdn Bhd(民間有限会社)

項目内容
最低資本金RM 1(法定上)。実務上は事業規模に合わせ設定
株主・取締役取締役は 1 名以上、うち 1 名はマレーシア居住者
法人税申告e-Filing 義務。分割前払い税(CP204)は課税年度開始前月末までに提出
監査売上 RM 30 万超または資産 RM 30 万超で 法定監査義務

CFC・移転価格・PE:日本の税制との交差点

日本の CFC 税制(外国子会社合算税制)とマレーシア

日本の CFC 税制(租税特別措置法 66 条の 6)において、マレーシア子会社が合算対象外となるには以下のいずれかが必要。

  1. ペーパーカンパニー要件の非該当: 主たる事業に係る事業基準・実体基準・管理支配基準・非関連者基準(または所在地国基準)をすべて充足
  2. トリガー税率(27.5% 未満→現行 20%): 2023 年度税制改正で部分合算課税のトリガー税率が 20% 未満に引き下げ。マレーシア標準税率 24% は通常クリアするが、ラブアン 3% は明確にアウト
  3. 経済活動基準(実質的活動要件): 製造・販売・サービス等のコア事業を現地で自力遂行しているか。Employee と Office の実態が問われる

移転価格(Transfer Pricing)

マレーシアは Income Tax Act 1967 Section 140A および Transfer Pricing Rules 2012(2023 年改正)に基づき独立企業原則を適用。

2023〜2024 年改正の主要変更点:

PE(恒久的施設)リスク

日本本社の役員・従業員がマレーシアで繰り返し契約交渉・締結権限を行使する場合、代理人 PE が認定されるリスクがある。リモートワーク普及後に見逃しがちな論点として、日本本社の従業員がマレーシアから継続的に業務を行う場合の 雇用者 PE も検討が必要。


グローバル最低税(Pillar Two / GloBE)への対応状況

マレーシアは 2025 課税年度(2025 年 1 月 1 日以降開始事業年度) から 国内最低補完税(DMTT: Domestic Minimum Top-up Tax) を適用開始。

項目内容
対象連結売上高 EUR 7.5 億(約 1,200 億円)以上の MNE グループのマレーシア構成事業体
税率実効税率が 15% を下回る場合に差額を補完課税
適用除外SBIE(実質ベース除外):有形資産 5%・人件費 5%(移行期間あり)の合計を課税所得から除外
セーフ・ハーバー移行期 CbCR セーフ・ハーバー:2026 年課税年度まで適用可

ラブアン IBC の実効税率(3%)は 15% を大幅に下回るため、グループが GloBE 対象の場合は日本親会社またはマレーシア DMTT によるトップアップ課税が発生する可能性が高い。構造再設計の検討が急務となっている。


Employment Pass と税務・Substance の関係

マレーシアの就労ビザである Employment Pass(EP) は、外国人取締役・上級管理職の配置を通じて Substance 要件を充足するうえで不可欠な手続きである。

EP カテゴリーと 2024 年現行要件:

カテゴリー月給下限契約期間備考
Category IRM 10,000最大 5 年高度専門職・役員
Category IIRM 5,000最大 2 年中級専門職
Category IIIRM 3,000最大 12 か月準専門職(更新 2 回まで)

2024 年 1 月から MyXpats システム での申請が一本化。承認期間は通常 4〜8 週間

税務上の実質的管理・支配(Place of Effective Management) の観点から、マレーシア法人の取締役会議事録・意思決定の所在地を整備しておくことが、CFC 認定回避および PE リスク管理の両面で重要になる。


まとめと実務チェックリスト

2026 年時点でマレーシア法人を活用するうえで、日本の税理士・会計士が確認すべき主要論点を整理する。

構造設計フェーズ

Substance・コンプライアンスフェーズ

申告・納税フェーズ

免責事項: 本記事に記載された税率・要件・制度は 2025 年 7 月時点の情報を基に作成しており、今後の法令改正・IRB ガイダンスにより変更される場合があります。個別案件の税務判断は、マレーシア・日本それぞれの資格を持つ税理士・弁護士にご相談ください。

マレーシアでの法人設立・ラブアン活用・Employment Pass 取得をワンストップでサポートする Bangga まで、お気軽にお問い合わせください。

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